お知らせ企業情報

「光の道構想」に関する地域アクセス系通信事業者6社の意見について

2010年4月22日

株式会社ケイ・オプティコム

東北インテリジェント通信株式会社

北陸通信ネットワーク株式会社

株式会社エネルギア・コミュニケーションズ

株式会社STNet

九州通信ネットワーク株式会社

我々電力系通信事業者は、日本を光先進国にするために、地方においてNTT東西との激しい競争を繰り広げながら20年余り光通信事業を営んできました。その結果、日本は、世界一安価なFTTHサービスを利用でき、世界一FTTHサービスが普及している光ファイバー大国となりました。これはひとえに、我々やCATV事業者などアクセス網を持つ事業者が、個人向けサービス分野や法人向けサービス分野においてNTT東西との間で設備競争・サービス競争を行ってきた成果であると自負しております。
さる4月20日に、グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースにて「光の道構想」に関する事業者ヒアリングが開催されましたが、そこで述べられた意見の中には、我々アクセス設備を持つ事業者から見れば、首を傾げざるを得ない意見も多くあります。仮に、そのような意見を元に政策が立案されてしまいますと、明るいはずの「光の道構想」に暗い影を落とすことにつながりかねません。
また、「光の道構想」実現に向けた方策を議論する場において、「光の道構想」には直接的に関係のない“NTT組織問題”がクローズアップされるなかで、本来議論すべき“インフラの問題”が、置き去りになっているとの懸念もございます。
つきましては、永年、光アクセス設備を構築してきた実績のある事業者の立場として、改めて以下のとおり意見を申し上げたいと考えます。

1. 「光の道構想」の検討にあたって

我々は、今まで日本の光アクセス網整備に貢献してきましたが、今後とも現在検討されております「光の道構想」の実現など、日本の光アクセス網整備に向けて、最大限の努力をしていきたいと考えております。
しかしながら、その具体的な実現方策の検討につきましては、拙速かつ不公正な形で結論が出されることがないよう、十分な情報開示と十分な国民的コンセンサスの醸成を図っていただくことが重要であると考えております。

2. 具体的な実現方策の検討にあたって

  1. 公正な競争環境のもと、民間事業者が切磋琢磨して、設備・サービス両面で競争していくことが必須でありますので、行政手続きの簡素化など、そのための環境整備に重点を置いて検討するべきであると考えます。
  2. 残り約1割のインフラ未整備エリア(条件不利地域等)については、民間事業者がインフラ整備を行うことを基本としつつも、民間事業者に対して、自治体を通じた公的支援を行い、インフラ整備を推進することが適当であると考えます。
    一方、約9割のインフラ整備済エリアについては、いかに国民に利用してもらうかといった利活用策の議論が重要であり、インフラ整備の議論は不要であります。
  3. 国の支援を前提とした独占的な光回線敷設会社設立やNTT東西光のファイバーの1分岐貸しは、コスト負担の歪み・地方の衰退・インフラの脆弱化を生むものであり、実施すべきではないと考えます。特に、NTT東西を含んだ光ファイバーの1分岐貸しは、設備投資インセンティブをなくし、設備競争によるイノベーションを阻むものであり、光アクセス網の進化を止めるものであることから、行うべきではないと考えます。
  4. 全ての家庭に一斉に光ファイバーを敷設する案が提案されておりますが、通信手段は携帯電話だけでよいという人も多く、またそういう人が増えている中で、そのような整備を行うことは、使われない設備を大量に作ってしまうことになります。そしてそのツケは、やがて国民に大きな負担となってのしかかってくる事は必至であるため、行うべきではありません。
    通信サービスは、FTTH・ADSL・CATV・WiFi・WiMAX・携帯電話等、有線/無線に関わらず多様化しておりますので、国民が自らのライフスタイルやニーズにあったものを選択できる環境を確保することが、引き続き必要であると考えます。
  5. インフラ整備の問題と、NTTグループ会社(NTT東西・NTTドコモ・NTTコミュニケーションズ等)の事業統合は、全く別の問題であるため、インフラの議論のなかで、バーター的に進められるべきではないと考えます。
    なお、現在も圧倒的な力を持つNTTグループに対しては、今までの規制のあり方を見直し、今後は市場支配力の観点からの規制を検討することが必要であると考えます。

以上

【添付資料】

(グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース「過去の競争政策のレビュー部会」・「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」合同ヒアリング資料)