
災害対応(熊本地震)
未曾有の大規模災害に、全社一丸となって対応。
約30年間で蓄積した技術力を活かして、早期復旧を果たしました。
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qtnet-saiyo@qtnet.co.jp
未曾有の大規模災害に、全社一丸となって対応。
約30年間で蓄積した技術力を活かして、早期復旧を果たしました。
九州全域にわたって、地球2周分にあたる約11万kmの光ファイバーケーブルを保有しているQTnet。九州のお客さまのライフラインを担う企業として、災害発生時には迅速かつ適切な復旧対応が求められます。2016年に発生した熊本地震では、本震からわずか1週間で約25kmの光ファイバーケーブルの敷設と通信局舎の臨時建設を完了。果たして、どのようにして早期復旧を成し遂げたのでしょうか。
MEMBER
技術本部
技術部計画グループ
グループ長
技術本部
サービスオペレーションセンター運用統括グループ
主任
技術本部
アクセス計画部アクセス統括グループ
グループ長
技術本部
アクセス工事部VLAN装置グループ
主任
甚大な被害をもたらした熊本地震。本震の発生後、本店では直ちに非常災害対策本部を設置しました。総括班が、被害情報をもとに復旧方針を決定。各復旧班と各対策部が連携して災害復旧に向けた対応が始まりました。
2016年4月14日以降に熊本県と大分県で相次いで発生し、最大震度7を含む地震が幾度となく襲った熊本地震。死傷者2,517名、住宅の全壊8,257棟と深刻な被害をもたらしました。当社の管轄エリアでは、熊本地区内の通信局舎4局の商用電源の停止に加え、多数の光ファイバーケーブルが断線。これにより法人のお客さま向け回線が80回線以上、BBIQなど一般のお客さま向け回線が550回線以上サービス停止となりました。本社では、総括班やケーブル復旧班などで構成される非常災害対策本部を設置。対応要員を昼と夜に分け、24時間体制がとられました。しかし、経験したことのない規模の被害状況が次々と報告されてきます。
「私の所属するサービスオペレーションセンターでは、24時間365日、通信設備の異常を監視し、異常が発生すれば直ちに復旧作業を行います。しかしながら今回のような大規模災害の際は、我々だけでは対応しきれないため、災害対策本部や各対策班と連携して対応にあたります。監視画面上で刻一刻と変わっていく異常や復旧などの状況や、お客さまからの問合わせ、現場からの情報を集約して関係箇所へ情報を展開、対応の依頼を実施します。光ファイバーケーブルが断線していればケーブル復旧班へ、通信設備が損壊すれば局内設備復旧班へ、また今回の熊本地震では復旧用の臨時局舎を建てる必要性が発生したため、ネットワーク設備部やケーブル工事部(現アクセス工事部)にも復旧作業の協力依頼を行いました」
非常災害対策本部が中心となり各班が連携したことで、迅速な情報収集とオペレーションが可能になり、いよいよ被災地での復旧工事がスタートしていきます。
多数のネットワーク機器を備える通信局舎とそこからお客さまのもとにネットワークを届ける光ファイバーケーブル。2つの設備を早期復旧させるには、従来の手法では通用しません。そこで、固定観念にとらわれない大胆な試みがなされました。
光ファイバーケーブルを従来のルートで繋ぎ直すには、寸断された道路の復旧を待たなければなりません。そこで取り入れられたのが、“急がば回れ”の手法。新たにルートを確保して、そこにケーブルを敷設する工事が行われました。
続いて通信局舎の倒壊を受け、旧九州電力高森営業所の跡地に臨時局舎を設置する工事がスタート。ケーブルの配置工事と同様、予想を上回るスピードで作業が進んでいきました。
柔軟な発想の成果で、本震の発生からわずか1週間という短期間で、ケーブルの配置と臨時局舎の建設工事が完了。これにより、被災地の通信回線は急速に復旧していくことになります。
過酷な状況にも関わらず、復旧に尽力してくださった協力会社のみなさん。被災しながらも、温かな手を差し伸べてくださった地域住民のみなさん。九州に根差す企業として、これほど心強いものはありませんでした。
余震や雨で地盤が緩くなった作業現場は、常に危険と隣り合わせ。そのような状況で作業員を突き動かしたものは、復旧への切なる願いでした。
「現場の社員に『無理するなよ』とは言ったものの、被災されたお客さまのことを考えると『急いでくれ』と言わざるを得ませんでした。本来なら現地に駆けつけたいのに、福岡の安全な建物の中で指示を出している。現場で、通常では行わないような工法で復旧にあたっている社員や協力会社のみなさんには、申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
さらに地域住民のみなさんの存在も、心強い支えになったと振り返ります。
「地元の方々に宿泊場所を相談すると、役場に泊まらせていただけることになり、作業が終わって夜遅く、しかも雨でずぶ濡れだったにも関わらず、快く受け入れてくださいました。おかげで、充分な休養をとって作業に臨むことができました」
このように復旧の裏には、作業員のみなさんが流した汗と、地元の方々の温かな支えがあったことを忘れてはなりません。
携帯電話で家族や友人と楽しく通話。インターネットを介して遠く離れた相手と会議。そんなみなさんの“何気ない日常”のために、私たちは復旧作業で得たノウハウ、そして社会貢献における共通の思いのもと、緊急時に備えます。
当社では、災害の復旧対応が完了するたびに全社大で反省会を行い、早期復旧に向けた対応方法の改善、マニュアルの見直しに繋げています。熊本地震での対応内容もその後の災害対応に大いに活かされています。
「今までは通信局舎の倒壊まで想定していませんでしたが、熊本地震を機に、臨時用に2台の可搬型局舎を常備するようにしました。また、設置の際に使用する資材も協力会社と連携してすぐに集められる体制を整えています」
「迅速かつ的確な復旧を進めるために、被害状況の確認は社外の方だけに任せるのではなく、復旧体制を把握している社員が行うことが重要だと痛感しました。博多駅前道路陥没事故(2016年11月)では、現場で対応にあたる社員から、どのようなお客さまに影響が出ていて、どのような対応が最適かという具体的な情報が、復旧方針を決める重要なポイントになりました」
「固定観念にとらわれず、迅速に動けるようにもなりました。その結果、九州北部豪雨(2017年7月)では、熊本地震の時のように従来のケーブル敷設ルートではなく、山の反対側からケーブルを新設するという方針を即座に決定しました」
もちろんノウハウだけでなく、社員ひとりひとりの心構えも大切です。
「災害復旧は地域の方々の生活を支え、豊かにすることに繋がっていることを忘れてはいけません。被災地の方々が携帯電話を肌身離さず持たれている姿を見て、通信が果たす役割の重要性を肌で感じることができました」
「私たちは、単に通信サービスを提供するだけの会社ではないのです。“九州全体の通信インフラそして人々の生活を支えている”ということを常に念頭に置く必要があります。この思いのもと、今後も社員が一丸となって災害への対策、復旧にあたっていきたいと思います」
九州のお客さまが安心して通信サービスを利用できるように、そして通信の先にある笑顔を絶やさないため、私たちは今日も社会のインフラを支えつづけます。
(注)掲載内容は取材当時(2019年)のものです。